「Aちゃん、いまだにこんなことしてるんだって」
彼女はわざとなのか、天然なのか、自分を褒めて欲しさで同世代の知人を貶めるような言い方をしました。私はハハハ、と笑い流しました。
同世代の彼女はソコソコの地位を築いているようでした。彼女は年収がうん千万の2回りも上の営業職の男性と結婚しました。
旦那様の住む大きな一軒家に転がり込み生活しているようでしたが、その一軒家は彼女が転がり込む前に旦那様の前妻の子も生活していたようです。前妻と離婚を機に子供は出て行ったとのことです。
馴れ初めは「結婚している人に突然告白をしてしまった」ところから。その後何度か付き合いを重ねていくうちに旦那様が前妻と離婚をし結婚することになった。まあこんな感じで言葉にはしていませんが完全に一般的な不倫からの略奪婚のようでした。(もしかしたら彼女は否定するかもしれませんが、私は事実を並べるとそうな気がしています)
「奥さんと冷めてたんだって」
「ジェネレーションギャップはないかな 彼が若々しいから」
「子供は欲しいんだけど、ダメだって 子供は1人が欲しいって言っても作れるものじゃないから」
理解ある妻を装う彼女。まるで夫と2人3脚で歩き始める普通の新婚夫婦のような素ぶりでした。
これからの結婚生活にウキウキした目です。
当時前妻の子供はまだ高校生だったそうです。
偶然にも私も高校3年生の冬に親が離婚していました。弟はその時まだ中学生で泣いて嫌がっていたのをよく覚えています。高校生の私は泣くほどではなかったもののアルバイトもせず独り立ちする生活力は皆無だったので弟とともに母親の元で育ちました。
その前妻との子は母はすでに別居している状態で同居していた父親からも離れた。たった1人でどこへ??その子供はどんな気持ちで家を出て行ったんだろう。
すでに崩壊していたとはいえ他人の家庭を法のもとでも「完全」に崩壊させ、子から親を奪ったのは事実。自分の幸福で目をきらめかせる彼女が悪魔のように見えました。そして、普通の家庭で主人とともに楽しく過ごす生活がいつまでも続くと思っている素ぶりに浅ましさを感じました。
20代前半の彼女と結婚したその時、旦那様はすでに50歳目前でした。
「簡単な仕事しかしてなかったのにそれができるだけで自分はできる女だと思ってた」
当時36歳の入社同期のビック年の差婚の彼女はカスタマーセンターの仕事を任されていました。歳を重ねているわりに手に職をつけていない己にやっと焦りを感じはじめていたように見えました。彼女からのこの言葉は当時まだ働き始めのピヨっこの私には痛烈に刺さりました。その頃やっと私は自分が「大したスキルをもたない人間」であることを認知したような気がします。
彼女の旦那様は16も歳が離れ、外資系の大企業に勤めていました。結婚してすぐの頃は旦那様の会社の事務の仕事をして贅沢で自由な暮らしをしていたようでした。
「1人で生きていけるようにならなければならない」
その言葉を自発した彼女の顔はこわばっていました。彼女が何をきっかけにそういった考えを持つようになったのかは不明ですが、それは悲しいことに「すこし遅かった」ようでした。
それがわかったのは、私と彼女が同じ会社に入社した直後でした。当時、会社は完全に傾きかけていました。半年前は上々だった売り上げがものすごい勢いで赤く染まり、プロジェクトが閉じ、人がいなくなり、みるみるフロアが閑散としました。そして私が入社予定だった部署は入社時にすでに無くなっていました。※このことは全く事前説明されなかった(このことはいつか記事にしたい)
私はちょうど半年で怒りの転職。彼女もその波に乗って転職するはずでしたが、結果的に彼女はスキル不足のため希望の場所にはどこにも転職できませんでした。
愛の形はそれぞれです。たまたま好きになった人と年の差があっただけのことなのかも知れません。
私は年の差婚が悪いと言いたいわけではないのですが、年の差婚は色々なリスクがあり、そのリスクと戦う覚悟が必要だと思うのです。覚悟さえあれば私は問題ないとは思います。
上記の彼女たちにはまだ覚悟が足りないように思えました。ただ年の差婚の良いところの「所得」や「旦那様の懐の深さ」だけを摘み取り結婚を噛みしめる様子は滑稽な存在に思えてならないのです。
続く